昔、ある師匠が弟子を呼んで
飴を2つ手渡しながら、こう言いました。
「これはお前だけに特別に与えるものだ」
弟子は感動し、どうしていいか分からないほどでした。
宝物のように恭しく受け取り、
引き出しの中に隠して
誰かに知らやしないかとビクビクしていました。
他の人にとっては、単なる飴2つに過ぎないのに。
翌日、師匠はすべての弟子を呼び集めました。
弟子たちの修業のほどを一人ひとりチェックし
しっかりやりなさいと励ましながら
全員に飴を2つずつ分け与えました。
最初に飴をもらった弟子は、
急に力が抜けて意欲を失い
恥ずかしくて腹が立ちました。
彼は、師匠を恨みました。
自分は特別な存在だという思いを
特別じゃなくしてしまったという理由で。
これが「特別」というものに抱いている
私たちの観念であり、反応の仕方です。
私は特別だという思いの裏に隠れているものは何でしょうか?
注目されたいという思い、認められたいという思いと共に
認められないかもしれないという恐れがあるのです。