千年をつなぐ存在

時々、鏡に映った私の中に
親の姿を見つけて驚きます。
歳を取るほどに似てきたように思います。
似たくないと思っていたことも
そのまま受け継いでいるのを見ると笑ってしまいます。

私は、見た目だけでなく
性格や言葉遣い、些細な習慣まで親に似ています。

個人と集団の関係も同じだと思います。
輝かしい歴史や文化だけでなく
受難のうちに経験した恐怖と挫折の歴史、
感情のDNAで受け継いでいます。

私たちは突然天から降ってきた存在ではありません。
親があり、民族の根本があり
それを共に作って支えてきた数千年の歴史があります。

それらが集まって今、私の肉体と精神をなしているのが分かれば
また、今この瞬間の「生」が
過去と未来をつなぐ大事な歴史であることが分かれば
態度や行動が変わってくるはずです。

私たちは千年をつなぐ
今の時代の大切な歴史なのです。

死は永遠の同伴者 

時々、真剣にこんな質問をする人がいます。

「私はこれからどうなりますか?
悟った方だから分かるんでしょう?」

よくされる質問だから、私の答えも簡単です。

「ええ、未来がとても良く見えます。
あなたはいつか死にます」

死は生命の永遠の同伴者です。
死があるから、私たちは「生」に対して謙虚になれます。

死が手招きしたり
それを目撃したり
私を見守っているような感じがふっとするだけでも
狭いうぬぼれの川はつぶれます。

時には死が生きる勇気を与えてくれます。
どのみち死ぬなら
恐れおののきながら生きる必要がないからです。
思い切って古いやり方を捨て、
自由にチャレンジしながら生きていく勇気は
生と死に対する深い洞察からきます。

つまり、死は
天が人間に与えた公平な祝福なのです。

原状回復の義務

ある公園で見た案内文が思い出されます。
「持ってきたものは、お持ち帰りください。
ここにあったものは、そのままにしてください」
地球においても、これが基本となるべきです。
地球は、私たちのものではありません。
許された期間に、私たちが得るものは
より広い土地やより高いビルではなく
何にも変えることができず
何にも壊されることのない
内面の成長です。
私たちが使うすべてのものは
環境や資源、技術はもちろんのこと
時間や空間までもが
そのような成長のためのツールとしての
使用を許されたものなのです。
だから、私たちには
それらをよく使い、
原状回復して返す責任があるのです。
このような観点から
経済理論と政治理論を立てると
それが地球経済学、地球政治学になります。
これらの原則が
地球上の私たちの暮らしの中で
常識となり、制度となったとき
幾度となく「生」を繰り返しながら
自らの債務を返済する、いわゆる
輪廻という宇宙の支払いシステムは
もはや必要なくなることでしょう。